Yu Chang チャイニーズエキスポートシルバー、純銀925のデカンタボトルになります。かって日本が明治時代に七宝、薩摩、金工の工芸品などを輸出して外貨を稼いでいたように中国でも工芸品を輸出していた時代がありました。アヘン戦争の後、英、米、仏によって祖界と呼ばれる居留地ができた上海と英国領になり貿易港となった香港がそのベースになりました。本品のYu Changも上海と香港がベースです(写真6枚目、ヨーロッパのディーラーがYu Changを説明する文です。本品には関係ありません)。ロンドンのビクトリア&アルバートミュージアムに行くと各国の工芸品が展示してありますが、中国に関してはチャイナとチャイニーズエキスポートに分かれます。それは国内向けのものと輸出用のものがあまりにも違うものであったからだと思います。日本で一般人が並河の七宝に出合うことがなかった様に中国の一般人がチャイニーズエキスポートに出合うことがなかったのだと思います。このように欧米では中国の輸出品のことをチャイニーズエキスポートと呼んで珍重しています。本品は1880年~1920年代位にYu Changにより欧米に輸出された品です。スターリングシルバー(純銀925)のデカンタボトルになります。高さ22㎝、重さ736㌘になります。底にSTERLING YUCHANGの刻印あります。高低差のある3面からなり全面が梅の紋様にて装飾されています。面白いのはキャップで、パリのヴァンドーム広場にある超高級五つ星ホテル、RITZの銘が入っています。オリエンタルなイメージを好んだヨーロッパの富裕層向けにホテルが用意したのでしょうか。シノワズリ(中国趣味)はマイセンやウィーン窯などのポーセリンでも見られるヨーロッパで人気のデザインです。これに似たデカンタボトルは日本製の銀器でも見ることはできますがほとんどが戦後のものだと思います。30年近く商売していますが100年から140年位前のこの手の日本製を見たことはありません。多分チャイニーズエキスポートが元祖だったのではないでしょうか。状態ですが紋様の中のパーツに欠けている部分があるかもしれません。見てもそれが欠けなのかデザインなのか区別が出来ません。私見ではバランスの悪い部分(欠損部分)はないように思いますが、保証や断言は出来ません。又パーツの剥がれによる治し(リペア)もよく見ればあるかもしれません。デザインと時代を考えればあって当たり前だと思います。完品保証をお望みの方にはご遠慮頂きアンティークをご理解している方のみの御入札をお待ちしています。ロンドンに行ってもチャイニーズエキスポートは本当に少ないです。オークションや専門店に行ったらバカ高いです。この希少性をご理解して頂ける方に落札して頂けたら幸いです。